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薬局などで漢方薬の看板を見かけますが漢方薬とはどんなものでしょうか
病人を漢方医学的に診た結果、種々の症状を祖み合わせた証候群を確認して漢方の原典に記載されている処方を選び投薬します。
処方はおもに複数の草や木の根や皮などから栂成されています。
漢方の原典は約2000年も前に完成された治療書であって「傷寒論(しょうかんろん)」「金匱要略(きんきようりゃく)」「千金方(せんきんぽう)」「和剤局方(わざいきょくほう)」などの医書です。また、原典には理論を書いたものと治療法を書いたものがあり、「傷寒論」などは薬の取り扱い方から、処方内容、飲み方、服用後の注意まで収載されていて治療法を取り扱う原典といえます。
漢方医による漢方医学的な診断は当所では専門外になるため漢方薬を理解できる程度の解脱をつけるにとどめました。
漢方薬を与えるためにはまず漢方診断により病人の「証候群」を決定しなくてはいけません。このためには脈診、腹診、舌診などのほか、体形、体質、年齢、性別、職業、声、顔色、精神状態などによることになります。
「証」自身は病人のあらわしている自覚および他覚的な症状を総括したものと考えられます。西洋医学では診察した病人の症状により病名をつけますので、病人の病名による治療が先行することになりますが、漢方では病人の訴える自覚症状が最優先されますので、病人個人の治療を考えるということになります。
病人に証があるように原典収載の処方にもそれぞれ証があり、ここに病人の証と処方の証とかぴったり合ったとき病人は健康に戻ってゆくのです。
漢方薬は日常病弱な人がその人の証にしたがって飲むと健康になり老いもせず、長生きもする結果が期待できるのが特徴で、それに伴い精力が旺盛となり、白髪が黒くなり、皮膚がつややかになるのであって、精力旺盛を目的としたような用い方はしません。
今日では西洋医も漢方薬を投薬する機会が多くなりました。統計によるとほとんどが慢性疾患の患者が多く、自律神経失調症、婦人病、慢性肝炎、気管支炎、慢性便秘、心身症候群、慢性肝炎、慢性胃炎などです。
「証候群」により投薬をしますが、病人の陰陽虚実ということも漢方薬を投薬する場合には必要なことです。
人間には陰陽、すなわち、生活反応が低い、冷え症で顔も青白く、疲れやすい場合があり、これを陰と考えます。陽は反対に生活反応が活発で、あつがり、汗をかき、行動的です。
陰には温める方向で、陽には冷やす方向での薬物の選択が必要となります。
虚実も同様で虚はすこぶる体力が低下して非常に疲れやすく、胃も丈夫でないのに対し、実は反対に体力は充実していて肥満であり、大変元気がありますが、糖尿病が多いようです。陽実ともに一見健康状態がよいように見えますが、病的な原因を内蔵している場合が多く、虚の人には補薬が、また実には瀉薬が必要となります。
同じかぜをひいた人でも陽実の病人には、葛根湯(かっこんとう)を与え、陰虚の病人には麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を与えるように配慮をしてゆく必要があります。
漢方薬は原則として「煎(せん)じ薬」の形式になっていますが、現在では「エキス」形が多くなっています。「煎じ薬」そのままの効力が「エキス散」の中に濃縮することができたからで、この製剤技術が漢方薬を認識させることに役立ったのかも知れません。
「煎じ薬」のほかに散薬、丸薬、瀉(しゃ)剤、湿布薬、洗浄薬、膏薬などの剤形もあります。
漢方薬の名前にはいろいろありますが、3通りと考えてよいでしょう。
先ず漢方薬に処方されている生薬(しょうやく)名がつけられるものです。桂枝湯(けいしとう)は桂枝(けいし)、芍薬(しゃくやく)、生姜(しょうきょう)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)の5味からなっていて、その主薬が桂枝であることを意味しています。乾姜人参半夏丸(かんきょうにんじんはんげがん)は構成する全生薬の名称が分かります。
第2は薬の作用と効果を目標につける場合です。補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は中焦を補い気を益す、元気がなくて胃腸の働きが衰えて疲れやすいものを回復させる湯液です。平胃散(へいいさん)は胃の病邪を平らげることであり、胃がもたれて消化不良の傾向のある場合に用いられます。
第3には病状によって名前がつけられているもので、通経丸(つうけいがん)、温胆湯(うんたんとう)、響声破笛丸(きょうせいはてきがん)などがあります。
漢方には古方と後世方とかあります。古い中国の漢の時代に作られた原典「傷寒論」「金匱要略」によるものを古方といい、処方内容が比較的簡単明瞭であって薬効が峻裂な傾向があります。後世方は宋、金、元の時代以降に発達した古典「万病回春(まんびょうかいしゅん)」「三因方(さんいんぼう)」などによるもので古方に比較して処方内容が大変複雑になっていますが、薬効は温和です。
現在日本では古方を用いる人が多く、中国では後世方が比較的多用されます。